〜  Q & A シリーズ 1 〜

     『便潜血検査と大腸がん』

Q. 大腸がんがどうして便の一部を採る事ことでわかるのですか。
A. 以前より胃や大腸から出血するような病気(胃かいようや大腸がんなど)があると目に見える、見えないにかかわらず便に血が混ざる事がわかっていました。
しかし、この事実を証明するには便検査前に何日も食事制限をしなくてはなりませんでした。
それは肉や魚に含まれる動物の血とヒトの胃や腸から出た血を区別することがうまくできなかったからです。ところが20年程前に日本の研究者によりヒトの血のみに反応する検査方法が開発された事により特に大腸がん検査の簡便法として全国に普及しました。
現在、皆さんがドックや検診で受けられている便潜血検査はこの改良型です。
Q. 便を採るにはどんな方法がありますか。
A. 便を採取するには主に表面を何回も拭くようにして取る方法とスティック状の採便棒を便に挿して取る方法があります。
それぞれに長所・短所があり研究者によって自分の方法が優れていると主張しています。
いずれの方法も2日法といって、1日1回づつ2日間つづけて便を採っていただく方法が最も効果判定に優れていると考えられています。
ところで最近はスティック棒で採便し、結果を数値で表わす方法をとる医療機関、検診施設や研究施設が多くなってきました。それは(+)、(ー)の判定では便に多くの血が含まれていても、少なくても同じ(+)で表現されるため危険度がわかりにくいためです。
Q. 便潜血検査で(+)でした。大腸検査は抵抗があるのでもう一度便潜血検査を受けたいのですがどうですか。
A. 一度(+)と判定された方が再度、便潜血検査で確認される事は大変危険です。大腸がんでは毎回の便検査で陽性になるとはかぎりません。2度目の検査で(ー)になってしまう事もあります。
過去の研究から繰り返し便検査を受ける事は大きな落とし穴になる事がわかっています。
陽性の判定を受けた時は精度の高い内視鏡検査やレントゲン検査で診断を受けることが必要です。
最近では特殊な方法として内視鏡検査やレントゲン検査と同じような検査前準備をした上で内視鏡やバリウムを使わずに空気を利用して腹部レントゲンCTを撮り3D画像処理するヴァーチャルコロノスコピー(内視鏡を用いない架空内視鏡検査)という方法も研究されており、将来は高齢者、からだの動きが不自由な方やどうしても大腸検査に恐怖心のある方などの診断検査の一つとして有効と思われています。
Q. (+)と判定されたときに大腸がんである危険性はどのくらいですか。
A. 最近の研究では1回の検査値が1000ng/ml(ngは1gの1億分の1,正常範囲は80〜150程度が多い)を超える場合は大腸がんが発見される確率が高いことがわかってきました。研究者によっては1000ng/mlを超えた方では3人に1人にがんが発見されたという報告もあります。
また、がん以外にもポリープや憩室(けいしつ)、特殊な大腸炎などが発見される率も高く何らかの病気がみつかる率は75%程度とも考えられています。
また、200ng/ml程度の陽性者でも60%近くの方から何らかの病気がみつかるといわれています。
いずれにしても(+)の判定を受けた時は直ちに専門医を受診し積極的に大腸検査を受ける事が大切です。

2004年7月1日掲載

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