〜 Q - A シリーズ 10 〜 

最近のがん検診;精密検査受診率とがん発見率





 胃がん検診・大腸がん検診の発見率は?

1)胃がん検診のがん発見率と精密検査受診率
全国平均は平成16年度集計で男性で0.14%、女性で0.06%でした。
しかし、胃レントゲン検査で異常を指摘され、精密検査を受けた方は市民検診では79.6%でしたが、職域検診では49.9%と低い値でした。
地域検診はさいたま市のように個別検診では受診された医療機関で検診結果を聞くために、担当医から直接に精密検査の必要性を説明されます。このために目の前にある自分の胃袋の写真を見ながら「ここがおかしいですよ」といった指導があります。個別検診の利点でしょう。
職域検診では、産業医が直接胃レントゲン写真を見る事は少なく(大きな企業では自前の検診施設を持っているところもありますが、ほとんどが検診専門業者に委託している事が多いようです)、要精密検査といっても説得力に欠けるのかもしれません。
もう一つは、職域検診では年齢層が若いために受診者自身も「いわれたからしょうがないので受けている」といった風潮もあり、病気を疑われても「自分は健康だ」「忙しくて時間がない」などといって精密検査を受けられない事がみられるようです。
最初に述べたように精密検査は地域検診でも約20%の方は受けられていません。いろいろな事情はあるでしょうが、この20%の中にも多くの胃がんは存在する可能性があります。
年齢に関係なく胃がんは日本人に最も多いがんのひとつですから、万一、異常を指摘されたときは積極的に精密検査をうけましょう。


 2)大腸がん検診のがん発見率と精密検査受診率
全国平均は平成16年度集計で男性で0.17%、女性で0.11%でした。
しかし、便潜血検査で異常を指摘され、精密検査を受けた方は市民検診では70.4%でしたが、職域検診では39.5%と低い値でした。
お気づきでしょうが、胃がん検診の精密検査受診率に比べて男女ともに10%程低くなっています。
その理由をいろいろな角度から分析することが長く行われていますが結論はわかりません。
よく理由として挙げられる事に「大腸の検査は怖い・痛い・おそろしい」といった風聞があります。
しかし、それは少数であって「自分はなんの症状もないし、がんであるはずがない」と思われている方が多いといった報告もあります。
日頃、外来で便潜血検査陽性で精密検査が必要な方とお話をしていると、まさに「何の症状もないし、便の検査くらいで癌が本当にわかるの?自分には痔があるし」と思われている方が多い事に驚きます。
昨年度の当院での大腸がん発見率は5.15%でした。ちなみに胃がん発見率は0.17%です。(サイトマップ/検査実績および発見癌数参照)
大腸がんが見つかった方のほとんどは、ご自分では健康と思われている方でした。
進行しても症状の少ない事が胃がんとの大きな違いです。
便潜血検査で異常を指摘された方はかならず、専門医に相談しましょう。


                           2007年5月7日掲載
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