〜 Q-A シリーズ 7 〜

食習慣の変化と生活習慣病 (1)






生活習慣病は偏った生活習慣や食習慣により引き起こされることはご承知のとおりで、特に問題となるのは
1)糖尿病
2)高血圧
3)肥満
4)高脂血症 です。
そして、これらに起因する第5の生活習慣病が『がん』です。
この第5の生活習慣病を助長する危険因子はいくつかありますが、なかでも
1)喫煙
2)肥満・やせ
3)糖尿病
4)食習慣の偏り
は重大です。
今回はこれらの危険因子についてお話します。

1) 喫煙
新聞紙上等でも明らかなように『発がん』因子としては横綱です。
具体的には『すべてのがん』で喫煙者:非喫煙者では1.65倍の危険度という報告があります。
タバコというとすぐに肺がんを連想しますが、実はもっと危険なのが喉頭がんで実に32.5倍といわれています。
危険度を列挙すると口腔がん2.9倍、喉頭がん32.5倍、肺がん4.5倍、食道がん2.2倍、胃がん1.5倍など口に近い臓器程、危険度が高いデータが示されています。

2) 肥満・やせ
肥満とやせについてもいろいろな報告があります。
国立がんセンターの津金氏によると肥満度の指標であるBMI(身長の2乗で体重を割った数値)が30以上の太った男性では標準(25以下)の方に比べて危険度は22%高く、BMIが19以下のやせた男性では危険度は29%で太っている方より高いと報告しています。
一方、女性では太っていてもやせていても『がんになる危険度』に差はみられなかったそうです。
つまり、ほどほどの体重を維持することが健康にとって重要であるとのことです。

3) 糖尿病
日本人の糖尿病患者さんの90%近くが2型です。
2型は血糖値を下げるインスリンは出ているのですが、量が十分でなかったり、効きがわるくなる事が原因です。
これらの変化は大量の飲酒や運動不足、偏った食事、カロリーの取り過ぎなどから起こると考えられています。
2004年愛知がんセンターの報告では同センターを受診した『がん患者さん』と『がんでなかった患者さん』で本人もしくは家族に糖尿病にかかったかどうかで調べたところ、男女の肝臓がん2.2倍、肺がん1.5倍、男性では咽頭がん・膵臓がん2倍、大腸がん1.3倍と糖尿病か糖尿病だった人のがんになる危険度が高いことがわかりました。

4) 食習慣の偏り
最近40年間の平均的日本人の摂取食材の変化をみると、穀類の著明な減少(約45%減)と脂肪量の急激な増加(約250%増)が目立ちます。
カロリーの面からも炭水化物が減少(20%減)し、脂肪分が増加(16%増)していますが、総カロリーは2000カロリーでほとんど変化がありません。
ちなみに、たんぱく質は2.5%の微増でした。
ところで、アメリカ人の脂肪摂取量はたしかに多いですが、同時期ではほぼ変化がありません。
これからもわかるように日本人の脂肪摂取量がいかに増えているかということになります。
このように食習慣の変貌が肥満、高血圧、糖尿病、高脂血症等の誘因となり、運動不足を伴って内蔵脂肪の蓄積へと悪循環を築きあげているのが現状です。


                          2006年5月29日掲載
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