大腸がん検診の便潜血検査(検便)について
便潜血検査とは何か
便潜血検査とは、便の中に混ざったごく微量の血液を調べる検査です。
胃や大腸に出血を伴う病気がある場合、目で見える出血がなくても、便の中には血液が混ざることが以前から知られていました。
かつては、食事に含まれる動物の血と、人の消化管から出た血を区別できなかったため、検査前に数日間の食事制限が必要でした。しかし約20年前、日本の研究者により、人の血液にのみ反応する検査法が開発されました。
この技術により、食事制限をせずに検査ができるようになり、大腸がんの早期発見を目的とした検診として全国に普及しました。現在、人間ドックや各種検診で行われている便潜血検査は、この改良型です。
便潜血検査で大腸がんがわかる理由
大腸がんや大腸ポリープは、表面がもろく、便が通過する際に出血しやすい特徴があります。
この出血は毎回起こるとは限らず、量もわずかであることが多いため、自覚症状がないまま進行するケースが少なくありません。
便潜血検査は、この目に見えない出血を捉えることで、症状が出る前の段階で異常を見つけるきっかけとなります。
便の採取方法と検査の考え方
便の採取方法には、主に次の二つがあります。
- 便の表面を何回か拭き取る方法
- スティック状の採便棒を便に挿して採取する方法
それぞれに長所と短所があり、どちらが優れているかについては研究者の間でも意見が分かれています。ただし、いずれの方法でも、1日1回を2日間行う二日法が最も検出率が高いと考えられています。
近年では、スティック状の採便棒を用い、結果を数値で示す方法を採用する医療機関が増えています。これは、単なる陽性、陰性だけでは出血量の多さが分からず、危険度の判断が難しいためです。
便潜血検査が陽性だった場合の考え方
便潜血検査で陽性と判定された場合、再度便潜血検査を行って確認することは勧められません。
大腸がんによる出血は毎回一定ではないため、2回目の検査で陰性になることもあります。過去の研究から、便検査を繰り返すことで精密検査の機会を逃す危険性が指摘されています。
陽性と判定された場合は、次のような精密検査を受けることが重要です。
- 大腸内視鏡検査
- 大腸のレントゲン検査
また、近年では、内視鏡やバリウムを使用せず、空気を用いて腹部のCT撮影を行い、三次元画像で大腸を確認する方法も研究されています。この方法は、体の負担が大きい検査が難しい方や、強い不安がある方にとって、将来的に選択肢の一つになる可能性があります。
陽性判定時の病気の見つかる確率
便潜血検査の数値が高いほど、大腸に病気が見つかる可能性が高くなります。
| 検査値の目安 | 見つかる可能性 |
|---|---|
| 1000ng/ml以上 | 大腸がんが見つかる確率が高い |
| 約200ng/ml | 約60パーセントで何らかの病変が見つかる |
1000ng/mlを超える場合、研究によっては3人に1人で大腸がんが発見されたという報告もあります。
また、がん以外にも、大腸ポリープ、憩室、炎症性の病気などが見つかることが多く、何らかの異常が確認される割合は約75パーセントとされています。
便潜血検査で大切なポイント
- 便潜血検査は大腸がんを否定する検査ではない
- 陰性でも病気が隠れていることがある
- 陽性の場合は必ず精密検査が必要
便潜血検査は、あくまで早期発見のための入り口の検査であり、結果の受け止め方が非常に重要です。
須田胃腸科外科医院としてのスタンス
須田胃腸科外科医院では、便潜血検査は「安心のために受ける検査」であると同時に、「次の行動を判断するための検査」だと考えています。陽性という結果に不安を感じる方も多いですが、そこで検査を止めてしまうことが最も大きなリスクになります。
当院では、検査結果の意味を丁寧に説明し、必要な検査や治療を無理なく選択できるよう支援することを大切にしています。気になる結果が出たときこそ、放置せず、早めに専門医へ相談していただきたいと考えています。














